フィラリア予防

フィラリアという寄生虫をご存知でしょうか?

イメージで言うと白いミミズのような虫です。
以前に比べるとだいぶ少なくなりましたが、東京でもまだ感染例は毎年報告されています。

フィラリアは以下のように体内で悪さをします。

フィラリア予防

蚊の吸血により、蚊の体内にいるフィラリアの幼虫がどうぶつの体内に入ります。
幼虫は約120日かけて成長しながら移動し、最終的には成虫(約30cm!)となって肺動脈や心臓に寄生します。
成虫の寄生により、血管、心臓の機能は障害され、放置すると死に至る場合もあります。
中には、脳に行ったり、目に行ったり、場所を間違えて寄生し障害を起こす虫もいます。

成虫になってから取り除こうとすると、首の血管からカテーテルを入れて取り出す等かなり大掛かりな手術が必要です。よって、フィラリアが幼虫でいる間に駆虫しなくてはなりません。
これが一般的に「フィラリアの予防」と言われるものです。
国立周辺だと4月から12月まで、つまり、蚊が出始める時期から蚊がいなくなって1ヶ月後まで、1ヶ月に1回お薬で駆虫する必要があります。フィラリア症は投薬をしっかり行えば100%予防できる病気です。

当院では、その子の好みや体調、生活習慣に合わせて錠剤のお薬、背中につけるスポットタイプのお薬、美味しいジャーキータイプのお薬をご用意しております。
また、コリーさん、シェルティーさんは先天的な遺伝子異常があり、飲めるお薬が限定される場合がありますので、獣医師にご相談ください。

*フィラリア検査について

フィラリアの予防薬を始める前に、毎年血液検査をしてフィラリアの感染の有無を調べることが必要です。これはなぜかというと、フィラリアが多く寄生した状態で予防薬を飲ませると、フィラリアが死ぬ際の毒素でショック症状を起こしたり、死んだ虫が血管に詰まったりして命に関わる場合があるからです。

猫のフィラリアについて

フィラリア症は犬の病気で猫には関係ないと考えていないでしょうか。

フィラリア予防

実は猫にもフィラリアは感染します。ある研究によると10%程度の猫がフィラリアに感染していると言われています。感染経路は犬と同じく蚊の媒介ですが、寄生場所と症状が違います。

犬のフィラリアは成虫が心臓や肺動脈に寄生しますが、猫のフィラリアは成虫までは成長せず、幼虫が肺のあたりで留まって症状を引き起こします。
主な症状は、咳や呼吸困難、嘔吐などです。うちの子慢性的に咳が続いているなと思ったらまずご相談ください。
猫で起こる原因不明の突然死が実はフィラリア症によるものだったというケースも報告されています。
フィラリアの検査は犬と同じく血液検査ですることができます。しかし少数寄生の場合は検出感度が高くないので、肺のレントゲンやエコー検査と組み合わせて、年に1回チェックすることをお勧めします。

予防は、猫用のフィラリアノミ合剤が出ているので、月に1回それを背中につけて行います。家でつけるのが難しい子は、病院でつけることも可能なのでご相談ください。

フィラリア症はかかってしまうと大変な病気ですが、ご家族の心がけ次第で予防できます。
春にはしっかりと検査を行い、予防を始めることをお勧めします。