スタッフブログ

 

今年も年に1度の「パピークラス・クリスマス特別企画」を開催しました。

 

 

現役生も卒業生もクリスマス仕様の3つのトレーニングに積極的に参加してくれました!

 

 

プレイセッションでは、はじめましてのワンちゃん同士でも、コミュニケーションをとって楽しく遊んでくれていました。普段のクラスやお家でのトレーニングの成果だと思います。

 

 

途中には当院のスタッフからの出し物もあり、大いに盛り上がりました。

 

 

 

 

 

 

武井動物病院のパピークラスは、JAHA(日本動物病院協会)のパピークラスコースを学んだ専門獣医師が動物行動学の知識に基づき開催しています。

 

HP:http://www.takei-amc.com/prevention/puppy.html

 

 

犬の社会化が適切に行われると、お家やお散歩などでの日常生活がスムーズになるだけでなく、

病院に慣れることで、どうぶつ、飼い主さんにとって診察時のストレスを減らすことができるというのは大きな利点だと思います。

 

 

今月も新入生が参加してくれる予定です。

 

 

随時参加を受けつけておりますので、お電話や診察時にお問い合わせください。

(開催は日曜日です。)

 

武井動物病院

2019年12月16日更新

 

 

僧帽弁閉鎖不全症は、心臓内の弁が変性して閉じることができなくなり、血液が逆流してしまう病気で、小型犬に多いことが知られています。

 

 

 

症状としては、軽度の場合は見た目には分からず、進行すれば、呼吸が早くなる、咳が出る、疲れやすい、呼吸困難、チアノーゼ、失神といった症状が見られます。

 

 

 

ACVIM(American College of Veterinary Internal Medicine:米国獣医内科学会)の犬の粘液腫様僧帽弁疾患の診断・治療に関するガイドラインが、2019年に改訂されました。

 

 

改訂版のポイントとしては2つあります。

 

 

 

ひとつは心不全の症状がでる前段階での治療をはじめることで、うっ血性心不全の発症や心臓病死を遅らせることができるということです。

 

 

 

つまり症状が出る前に健康診断などで心臓マーカーの測定をしたり、心雑音を見つけ、心エコーやレントゲン撮影を行って、治療開始の基準に該当すれば治療を行うことが推奨されます。

 

 

 

もうひとつは、限られた施設での実施にはなりますが、外科手術で僧帽弁を修復する根本的な治療が推奨されている点です。

 

 

 

 

【心臓の構造と血液の流れ】

 

 

 

 

 

 

 

 

心臓は4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)に分かれています。

 

 

 

全身から静脈を通って帰ってきた血液は右心房に戻され、右心室へ、そこから肺動脈を通って肺に向かいます。

 

 

 

ここで新鮮な酸素をもらい、肺静脈を通り左心房に戻ってきます。

 

 

 

左心房から、左心室へ行き大動脈を通って全身に向かい、各臓器に酸素を届けるのです。

 

 

 

古い血液と新しい血液が混ざってしまっては困るので、一方通行になるように、各部屋の間には弁という仕切りがあります。

 

 

 

このうち左心房と左心室を仕切っているのが、僧帽弁です。

 

 

 

【原因】

 

 

原因は明らかになっていませんが、僧帽弁が厚くなったり変形することで、仕切りの役割ができずに血液が逆流してしまいます。

 

 

小型犬に多く、遺伝的に罹りやすい犬種がいます。

 

 

 

 

キャバリアは比較的若齢で発症すると言われ、4歳以上では42~59%に心雑音が聴取されるという報告があります。

 

 

 

他の好発犬種としては、ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー、トイプードル等がいます。

 

 

 

また加齢に伴い発症率が増加し、13歳以上では僧帽弁逆流の心雑音が30~35%で認められるという報告や、弁膜病変が最大で85%において認められるという報告があります。

 

 

 

【症状】

 

 

この病気は数ヶ月から数年かけてゆっくりと進行することが多いですが、急速に進行して悪化する場合もあります。

 

 

 

逆流が軽度の初期では、症状を示しませんが、次第に動物病院で行う聴診で心雑音が聞こえるようになります。

 

 

 

さらに進行すると、散歩の時や興奮した時に、咳が出たり呼吸が早くなったりします。

 

 

 

これらは徐々に進行することが多いため、「最近疲れやすいけど年のせいかな?」と思ってしまう飼い主さんも多くいらっしゃいます。

 

 

 

咳は血液の逆流により左心房が拡大し、気管支を圧迫することなどから、呼吸が早くなったり疲れやすいのは、心臓が一度に全身に送れる血液(酸素)が少なくなることから生じます。

 

 

 

しだいに安静時にも上記のような症状がみられ、さらに逆流が重度になると、呼吸促迫・呼吸困難となります。

 

 

 

これは、左心房に逆流する血液が多くなった結果、左心房の圧が高まり本来なら肺から左心房に血液が送られるところ、肺の部分で血液が渋滞してしまい、肺のうっ血・水腫を起こすためです。

 

 

 

また循環障害のため粘膜が青紫になるチアノーゼ、失神、ふらつきなども見られます。

 

 

 

弁を支えている腱索が切れたり、左心房が破裂した場合は、急性左心不全の症状を示すことがあり、突然死することがあります。

 

 

 

【診断】

 

 

 

 

身体検査では、左心尖部を最強点とする心雑音が聞こえます。

 

 

 

血液検査心臓マーカーを測定することで心臓への負荷の程度を確認できます。

 

 

 

心エコー検査では、左心房・左心室の拡張が見られ、僧帽弁が肥厚し、結節状になったり、進行すると左心房側に位置するようになります。

 

 

 

またカラードップラー法を使用し、逆流を確認したり、僧帽弁を通る血流速度の測定を行います。

 

 

 

 

X線検査では左心房・左心室の拡大肺のうっ血・水腫が見られます。

 

 

 

 

ACVIMガイドラインでは、心臓の形態の変化と症状で4つのステージ(A,B,C,D:Dが最も重症)に分類し、さらにBをB1とB2に分けています。

 

 

 

 

例えば、ステージB2聴診での心雑音の強度、エコー検査やX線で調べた左心房の大きさや左心室の内径、心臓の大きさに関しての数値基準があります。

 

 

 

 

診断では全身状態を把握し、他の病気との鑑別診断を行った上で、僧帽弁閉鎖不全症と考えられる場合は、どのステージなのかを基準に照らし合わせて考え、治療方針を決めていきます。

 

 

 

実際は、全ての数値基準を超えなくても症状が目立つ場合があるなど様々なので、個々の状態に合わせて対応することが大切です。

 

 

 

【治療】

 

 

 

 

内科的治療では主に薬を使って生活の質の向上と寿命の延長を目指します。

 

 

 

 

僧帽弁逆流を軽減し、肺うっ血の予防または軽減、心拍出量を維持し合併症の予防するために行います。改定されたガイドラインでは、ステージB2からの治療の介入が効果的としています。

 

 

 

 

個々のステージ、状態で治療に用いる薬剤や投与量は異なりますが、使用される薬剤の例としてピモベンダンという強心作用と血管拡張作用のある薬や、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)、利尿薬、血管拡張薬、鎮咳薬、鎮静薬等があります。

 

 

 

 

また食事療法としてカロリー摂取量や塩分摂取量を管理します。

 

明らかな肥満の場合は心臓の負荷を減らすために徐々に適正体重に戻す場合があります。

 

一方痩せてしまうのも予後に影響するため、体重維持のための工夫をします。

 

 

 

また心不全の症状が強い場合は、運動制限をします。

 

 

 

 

外科的治療として、最近では犬でも僧帽弁形成術等を行うことができるようになりました。

 

 

 

小型犬の心臓はとても小さいため心臓外科の専門技術が必要であり、最新の設備やスタッフ体制が万全な限られた施設でしか行うことができません

 

 

 

現在のステージと手術、術後のリスク、そして費用面などを考えなければなりませんが、外科手術では根本的な原因の治療が期待でき、逆流自体を少なくできます

 

 

 

希望される場合は専門病院へ当院から紹介も行っております。

 

 

 

患者さんの中には、実際に手術を受けて劇的に改善した子もいます。

 

 

 

 

 

ガイドラインでは、特に好発犬種を含む小型犬では定期的な検診を受けることが推奨されています。

 

 

 

大型犬でも罹ることがあり進行が早いため体の大きさに関わらず検診で心雑音の有無やエコー検査などを受けておくのがよいでしょう。

 

 

 

早めに発見することで、適切な治療を受けることができます。

 

 

 

 

2019年12月9日更新

当院ではこれまでも眼科検診の際に眼圧の測定を行っておりましたが、

 

 

トノベットの導入でよりどうぶつへの負担が少なくスピーディーに眼圧を測定できるようになりました。緑内障ぶどう膜炎の診断にかなり役立ちます。

 

 

目が赤い、白い(色が変わった)、目をこする、目が痛そう、左右の目の大きさが違う、目やにがたくさん出るなどの症状が見られたら、お早めにご相談ください。

 

2019年11月14日更新

猫伝染性腹膜炎(Feline Infectious Peritonitis:FIP)は、主に若齢(2歳以下)の猫で発症し、残念ながら予後が非常に悪い病気として知られてます。

 

また確定診断が難しい病気であり、FIP以外の病気の可能性を慎重に見極めて除外するとともに、FIPの可能性が高いと考えられる所見を積み重ねていくのが現実的な方法です。

 

【原因】

 

猫コロナウイルス(Feline coronavirus, FCoV)が関係しています。

 

FCoVには多くの猫が感染し一般的な感染症ですが、FCoVが体内で変異株のFCoVすなわち、FIPV(Feline Infectious Peritonitis Virus:猫伝染性腹膜炎ウイルス)に変化し増加することで、FIPを発症すると考えられています。

 

 

猫コロナウイルス(FCoV)に感染しているからといって、FIPを発症するわけではなく、病気になるのはその一部です。

 

 

病名に伝染性とあるので、感染力が強いウイルスと誤解されやすいのですが、通常FIPVが一緒に暮らしている猫に感染して発症することはないと考えられています。

 

【症状】

 

FIPを発症した猫でよくみられるものとして、発熱や沈うつ、食欲不振、体重減少があります。

 

FIPには大きく分けて2つの病型があり、滲出型(ウエットタイプ)非滲出型(ドライタイプ)に分けられます。

 

ウエットタイプでは、腹水貯留でお腹が膨れるという症状が最も良くみられますが、その程度は様々です。

 

胸水や心嚢水が貯まることがあり、その場合は呼吸困難も見られることがあります。

 

ドライタイプは、主に体内の臓器に化膿性肉芽腫という炎症の塊のようなものができます。

 

この塊は外見からは分からないので、症状がさらに分かりにくいのが特徴です。

 

消化管にできれば嘔吐や下痢が起こる場合もあります。そのほかにも腎臓やリンパ節、肺、肝臓など様々な組織に化膿性肉芽種ができます。

 

 

に波及すれば、眼の病変が見られたり、脳・神経に波及すれば、運動失調や眼振、行動異常、けいれんなどが見られることがあります。

 

しかし、これらタイプごとの症状は、必ずしもはっきりと現れるわけではありません

 

どの臓器に病変が存在するか、その重症度は、個々によって異なります。

 

また、ウエットタイプとドライタイプが混在する場合もあり、連続性をもったものと考えられています。

 

【診断】

 

FIPの診断は、1つの検査で簡単にできるわけではなく複数の検査や症状等から「FIPの可能性が高い」ことを示していきます。

 

特殊な検査もあり、当日に検査結果がわかるものだけではありません。

 

また診断の過程では同時に他の病気(腫瘍等)の除外を進める必要があります。

 

FIPは主に若齢(2歳以下)で発症することに加えて、多頭飼育環境、ストレスによる影響も発症に影響すると考えられています。

 

このような猫で発熱や食欲低下、体重減少が見られれば、FIPも候補の1つとして検査を進めます。

 

もちろんこれだけの情報では、軽い細菌感染などの胃腸炎などの可能性もあります。

 

身体検査、血液関連の検査、画像検査等の検査を行い、認められている変化を1つ1つ確認します。

 

1項目ではFIPと言い切れないですが、FIPで特徴的な項目の変化が複数あれば可能性が高まります。

 

ここでは詳細を省きますが、その項目は多岐に渡ります。

 

ウエットタイプで特徴的なのは腹水、胸水の貯留でした。

 

前述したように2つの型の間のような病型をとる場合もあるため、必ずしも十分量採取できるとは限りませんが、可能であれば腹水を採取して分析することが役立ちます。

 

FIPに特徴的な性状であるかを検査し、その場合は腹水中にウイルス抗原が含まれているかをさらに専門機関で調べます。

 

陽性であればFIPである可能性が高いですが、必ずしも検出に十分な量が含まれているとは限らないために「陰性=FIPでない」とは言えないことに注意が必要です。

 

ドライタイプでは、体の内部の臓器に肉芽腫ができるため、さらに診断が難しくなります。

 

特徴的な症状や検査項目の変化があれば可能性が高いのですが、確定診断は体内にできた病変組織部分を手術で取り出して、病理切片を作成して病変内のウイルス抗原を確認する必要があり、体力が落ちている生前に行うのは現実的に難しいです。

 

また開腹をせずに、穿刺で肉芽種の部分を吸引してウイルス抗原を確認する方法もありますが、採取自体が難しいか、検出に十分な量が含まれているとは限らないため、確定診断が難しいのです。

 

【治療】

 

現時点で根治ができる治療法は確立されておらず、予後が非常に悪い病気です。

 

唯一、ステロイド投与は炎症や過剰な免疫反応を抑制し、一時的な状態維持の可能性がある場合もあるということで、使用されますが完治ができるわけではありません。

 

他に数多くの抗ウイルス薬や免疫抑制剤が治療に用いられてきましたが、有効とされるものはありません。

 

最近では、GC-441524といった新しい抗ウイルス薬の効果が報告されていますが、研究段階であり国内で治療薬としては認可されていないのが現状です。

 

【予防】

 

FIPVに対するワクチンは研究されてきましたが、有効なものは確立されていません。

 

 

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FIPを発症した猫でよく見られる発熱や食欲不振は、他の感染症などでも一般的に見られる症状です。

 

お家の猫ちゃんの様子が、いつもと違うなと気づいたら、早めに動物病院に相談してください。

 

2019年10月25日更新

 

パピーケアクラスに10月から新入生が加わりました!

 

子犬の時期に人の社会で一緒に暮らしていくために必要なことや

他の犬との関わり方などを楽しく学びます。

 

 

当院ではJAHA(日本動物病院協会)のパピークラスコースを学んだ専門の獣医師に講師をお願いしております。

 

現在、新規の方も受付中ですので、お問い合わせください。(電話:042-576-9100)

 

 

武井動物病院のパピークラス:http://www.takei-amc.com/prevention/puppy.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年10月21日更新

 

当院ではレーザー治療器を用いた治療を行ってまいりましたが、

 

 

この度、最新のレーザー治療器「CTC compact」を導入しました。

 

 

関節炎の疼痛緩和や炎症の抑制、創傷治癒の促進、歯肉炎の緩和、腫瘍の温熱療法など、様々な場面で活躍してくれています。

 

 

レーザー治療について詳しく知りたい方は、獣医師にお尋ねください。

 

 

2019年9月23日更新

 

昨日は当院待合室にて防災トレーニングセミナーを開催しました。

 

 

 

 

 

昨年に引き続き石巻市での活動経験のある鈴木先生(犬そだての教室kokua)をお招きし、

 

 

災害時に必要な知識や心構え、しつけを座学+実践形式でトレーニングしました。

 

 

参加してくれたわんちゃん達は、クレートトレーニングやお座りなど頑張ってくれました。

 

一生懸命な姿が可愛かったです。

 

 

 

 

災害はいつ起こるかわかりません。

 

いざという時に対応できるように、お家でもトレーニングを続けてみてくださいね。

 

 

また今後もいろいろなセミナーを企画する予定です。

 

 

今回ご都合がつかなかった方も、次回の企画に是非参加してみてください。

 

 

2019年9月23日更新

9月1日は防災の日です。

 

 

当院では9月を「どうぶつ防災強化月間」としています。

 

 

 

 

どうぶつを守るためには、自分自身を守らなければなりません。

 

 

どうぶつやご家族の状況により必要な対策も異なります。

 

 

これを機に対策を見直してみませんか?

 

 

ペット健康防災手帳:病院受付で配布しています。

http://www.takei-amc.com/wp/news/bousai-notebook/

 

*「人とどうぶつのための備蓄品チェックシート」:待合で配布しています。

 

おもて面が人のための、うら面がどうぶつのためのチェックリストになっています。

 

 

HP「どうぶつの防災」http://www.takei-amc.com/prevention/bousai.html

 

 

防災トレーニングセミナーを開催します。(2019年9月22日)

 

 

 

 

 

 

2019年9月1日更新

 

外耳炎とは耳介、外耳道に起こる炎症のことで、耳が赤くなったり、熱感をもったり、腫れたり、耳垢が増えたりします。

 

 

また痒みを伴うため、我慢できずに自分で掻きむしってしまい、悪化させてしまうことがあります。

 

 

外耳炎は、体調や季節の変化で現れる軽度で一時的なものもありますが、犬種や個体の特性で罹患しやすい、あるいはアトピーや食物アレルギーなどが基礎疾患としてある場合は、慢性化して繰り返し治りにくくなることがあります。

 

 

このような場合は特に正確な病状把握と診断、治療がポイントとなります。

 

 

【原因】

 

外耳炎の原因としては以下のPSPP分類が提唱されています。

 

実際は一つの要因だけでなく複数の因子が組み合わさって起きていることが多いです。

 

主因(Primary causes)それだけで外耳炎を引き起こす原因となるもの。

 

・食物アレルギー、アトピー性皮膚炎

 

・脂漏症や脂線炎などによる角化異常

 

・寄生虫感染(ミミヒゼンダニ、毛包虫)

 

・異物(毛や植物、砂などによる刺激)

 

・内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症等)

 

・分泌腺過形成、ポリープや腫瘍など

 

副因(Secondary causes)

健康な耳ではそれ自体で病気を起こさない、あくまで他の因子(多くは主因、まれに素因)に続発して生じる。これ自体は比較的容易に取り除くことが可能。

 

・細菌やマラセチアの増殖

 

・過剰洗浄、投薬など不適切な処置

 

持続因子(Perpetuating factors

 

外耳炎が起こった後に生じて、外耳炎を長引かせる因子。

 

耳道の浮腫や狭窄、上皮移動障害(耳垢が排出されにくい)、中耳炎につながる増殖性の変化

 

素因(Predisposing factors)

 

外耳炎の発生前に存在している因子で、それがあると外耳炎に罹りやすくなる。

 

・耳道の中の耳毛が多い(例:プードル、シュナウザー)

 

・耳道が狭い(例:シャーペイ)

 

・耳が垂れている(例:バセット・ハウンド)

 

・耳道の中の分泌腺が多い(コッカー・スパニエル)

 

・耳の中が高温多湿になる(頻繁な水泳や入浴)

 

・免疫が抑制されている状態

 

 

【症状】

 

左右どちらかあるいは両方の耳が、赤くなったり腫れたり耳垢が増えてくることで気づきます。

次第に、痒みのために、頭や耳を振ったり、足で掻いたり擦り付けたりするようになります。

 

進行すると耳が分厚くなり、色素沈着や赤みが目立ち、外耳道が狭くなってしまいます。この頃には痛みのため、耳を触られるのを嫌がるといった行動も見られます。

 

またアトピーや食物アレルギー、内分泌疾患等を持っている場合は、耳だけでなく全身にも様々な症状が認められることがあります。

 

【診断】

 

耳の観察はまず肉眼で行い、その後耳鏡を使って外耳道鼓膜を確認します。

 

左右差があるのか、どの部位にどの程度の炎症があるのか、耳垢の量耳道の細さ、耳道中に異物やポリープなどはないか、耳毛の量鼓膜の損傷程度などを見ます。

 

耳道がかなり狭くなってしまう等慢性化している場合や痛みが非常に強く耳を触らせてもらえない場合は、鎮静下あるいは全身麻酔下でオトスコープを使用して観察を行います。

 

オトスコープでは、耳道内部の観察と同時に組織生検や異物の摘出も可能です。

 

耳鏡↓

 

 

オトスコープ↓

 

 

耳垢検査では耳垢を採取して、スライドガラスに塗りつけて顕微鏡下で観察します。

 

耳垢は角質と脂などが混ざり合ったもので、細菌やマラセチア、寄生虫が繁殖している場合があります。

 

また耳の症状だけではなく、その他の皮膚も注意深く確認します。アトピーや食物アレルギーの症状の一つが耳に現れている可能性もあるからです。

 

 

皮膚にこだわらず、全身の状態も把握した上で診断が必要です。

 

内分泌疾患が原因の外耳炎の場合は、食欲や飲水、排便排尿、体温等の一般状態に変化が見られる場合があります。

 

【治療】

 

直接的な原因が明らかになった場合は、例えば異物なら除去ミミダニなら駆虫等行います。

 

 

脂漏症の動物では、定期的な耳の洗浄食事管理等を行い長く付き合っていく必要があります。

 

 

アトピーが疑われる場合は、根気強く治療を行う必要があります。

(詳細はどうぶつ医療コラム『アトピー性皮膚炎』:http://www.takei-amc.com/wp/blog/column-atopy/

 

内分泌疾患などがある場合はその疾患ごとの治療を行う必要があります。

 

 

外耳炎を悪化させるような要因がある場合(細菌やマラセチア、耳垢過多等)は耳道洗浄を行います。

 

耳道洗浄は、耳鏡などにより鼓膜や耳道を確認して、洗浄が問題ないと判断した場合に行います。

 

鼓膜の損傷の有無によって使用できる薬剤も異なります。

 

 

耳道洗浄により過剰な耳垢を除去するだけでなく、細菌やマラセチア等も除去することで耳道の環境を整えます

 

 

これにより点耳薬の効果も高めることができます。

 

 

病院では洗浄液や生理食塩水を用いて適度に水圧をかけて丁寧に洗浄していきます。

 

 

激しく痛がる場合などは鎮静下あるいは全身麻酔下でオトスコープを用いて観察しつつ治療を行います。

 

 

耳道洗浄を家庭で行う場合は、必ず獣医師の診断と指導の下に行って下さい。

 

 

 

点耳薬には、抗菌薬や抗炎症剤があり症状に合わせて使用します。

 

 

また重度の場合や全身に症状が認められる場合は内服薬も使用します。

 

 

 

以上のように内科療法を行うことが基本ですが、慢性化して耳道が肥厚し極端に狭窄していて内科治療ができないあるいは効果がない場合は、外側耳道切除術、垂直耳道切除術、場合によっては全耳道切除術等の外科手術が適用になる場合があります。

 

 

外耳炎は軽度で一時的なものもありますが、慢性化すると動物は常に痛みや痒みに悩まされQOLが低下します。

 

耳が赤くなっていたり、痒がる様子が見られたり、いつもと違うなと気づいたら早めに診断と治療を受けると良いでしょう。

 

 

2019年7月30日更新

 

令和のはじまりということでお祝いムードの中、当院では先日パピーが誕生しました。

 

胎盤剥離の兆候があったこともあり、帝王切開を行なったのですが、

 

3匹とも無事に生まれてきてくれました。

 

GW中の嬉しい出来事でした。

 

2019年5月7日更新