スタッフブログ

 

膀胱炎とは、膀胱に炎症が起こる病気です。

 

 

 

尿が少ししかでない何度もトイレに行く血尿などの症状が見られ、犬でも猫でもこのような症状で来院されることは比較的多いです。

 

 

 

犬では大腸菌などの細菌感染が原因であることが多いですが、猫では細菌感染などの明らかな原因が見られない特発性膀胱炎が多いことが知られています。

 

 

 

【原因】

 

細菌、真菌、寄生虫の感染や、結石による刺激、膀胱内のポリープや腫瘍、薬剤などが原因で発症します。

 

 

犬の場合は、細菌感染によるものが多いことが知られています。

 

大腸菌やブドウ球菌などが主な原因です。

 

膀胱は尿道に続いているため、尿道の出口から糞便などに含まれる細菌が感染して、それが膀胱までさかのぼって炎症を起こすことが多いです。

 

 

 

 

 

 

猫の場合は特発性膀胱炎といって、細菌感染などのはっきりとした原因が見られない膀胱炎が多いことが知られています。

 

膀胱の構造の問題、ストレスや環境要因が関係しているのではないかと言われています。

 

 

【症状】

 

・頻尿

 

・尿が濁る、血液が混じる

 

・排尿時にキャンと鳴くなど痛がる

 

・残尿感があるため頻繁に排尿姿勢をとる(尿量は少ない)

 

・痛みから普段排尿する場所を恐れて別の場所で排尿してしまう

 

・元気がない

 

・食欲不振

 

 

【診断】

 

身体検査で全身状態を確認し、触診では膀胱の腫れや尿のたまり具合を確認します。

 

 

結石等により尿の出口が塞がっている状態では尿が大量に溜まっており膀胱に張りがあります。閉塞状態は大変危険なのでまず確認します。

 

 

 

尿検査では尿中の潜血やタンパク、細菌や結晶があるかなどを調べます。

 

 

エコー検査では、膀胱や尿道に腫瘍や結石等がないか、壁の厚み、粘膜の状態等を確認します。

 

場合によってはX線検査も併用します。

 

尿検査で明らかな異常がなくても画像診断で、原因が明らかになることもあります。

 

 

 

なお、頻尿などの膀胱炎の症状だけでなく発熱等全身症状が見られる場合には、全身状態を確認する必要があります。

 

 

 

【治療】

 

 

細菌性膀胱炎の場合、抗菌薬により治療を行います。

 

 

細菌の種類によって有効な薬剤が異なりますので、尿を採取して細菌を培養し、薬剤感受性検査を行います。

 

尿を採取する際、膀胱穿刺といって、エコーを見ながら膀胱に針を刺して尿を吸引する方法を用いることで検査精度が上がります。

 

 

投与は約2週間〜3週間行わないと再発してしまうことがあるため、症状が改善したからといって自己判断せずに必要な期間確実に投薬することがポイントです。

 

 

 

感染に対しての抵抗力が下がっていたり、尿石があったりすると再発する場合があります。

 

尿石用フードに変更するなどして、再発を防止します。

 

 

なお、糖尿病や腫瘍などの基礎疾患がある場合も同様ですので、基礎疾患の治療を行います。

 

 

 

 

投薬だけでなく、新鮮な水を十分に摂取できるように注意しましょう。

 

 

尿石症については詳しくはこちらへ

:どうぶつ医療コラム『尿石症』 :http://www.takei-amc.com/wp/category/blog/jin/

 

 

 

猫の特発性膀胱炎の場合は、明らかな原因は見つからないものの、環境要因やストレスが関係していると考えられています。

 

 

尿の量が減り濃縮された尿は膀胱にとって刺激になるため、このような状況を改善することが大切です。

 

 

 

 

まず飲水量を増やすために、飲水器を増やして様々な場所に置く、異なるタイプの飲水器を試す、こまめに新鮮な水に変える、ドライフードを利用している場合、お湯でふやかしたり、ウエットフードの利用を考えるなどの工夫を行います。

 

 

 

またトイレに行くこと自体がストレスになってないかを検討します。設置場所が猫にとって落ち着かないこともあるので、複数個を様々な場所に設置したり、形状の異なるトイレや猫砂を用意することも検討します。

 

 

 

多頭飼育の場合は猫の数+1個はトイレの数を用意し、排泄物が置いたままにならないよう、気づいたら早めに片付けて清潔を保ちましょう。

 

 

 

トイレ以外にも生活の中でストレスの原因がないか検討し、猫の本来の性質を考えて、少しでもストレスを低減する工夫を行います。

 

引っ越しなど生活パターンが変わった時などは要注意です。

 

また最近では、ストレスを軽減するフードやサプリメント、部屋に置くフェロモン剤などが治療に使用されています。

 

 

 

なお、膀胱炎による痛みが強い場合は鎮痛剤を用いることがあります。

 

 

排尿について、いつもと違う様子が見られたら早めに病院に相談してください。

2020年6月2日更新

 

膝蓋骨脱臼(パテラ)とは、膝(ひざ)のお皿の骨(膝蓋骨)が、本来収まる大腿骨にある溝(滑車溝)から外れてしまう病気です。

 

 

動物は無症状の場合もあれば、歩き方がおかしくなったり、痛がったりすることもあります。重度の場合は成長に伴い、足の骨の変形が起こります。

 

 

中〜大型犬よりも小型犬に多い病気で、多くは先天的にもしくは発育過程で起こり、膝蓋骨が内側へずれる内方脱臼が一般的です。片足もしくは両足で起こります。

 

なお猫では稀な病気です。

 

 

 

膝関節を構成する骨は大腿骨、膝蓋骨、脛骨です。大腿骨には滑車溝というくぼみがあり、ここに膝蓋骨が収まっています。

 

これを筋肉、靭帯や腱、関節包などの組織が支えています。

 

 

【原因】

先天的な骨格や筋肉の異常が多く、生まれた時あるいは子犬のころから見られるのが一般的です。

 

ポメラニアン、トイプードル、ヨークシャ・テリア、マルチーズ、チワワなどの小型犬で多いことが知られています。

 

交通事故や高いところから飛び降りたなどの外傷が原因で発症することもあります。

 

【症状】

 

急にキャンと鳴き、後ろ足を気にしている(特に初めて脱臼が起こった時)

 

・歩きづらそうにしていたり、痛がったり、後ろ足をあげる(時々〜いつも)

 

・後ろ足に力が入らない

 

後ろ足を伸ばしたりする(自分で脱臼をなおそうとしている)

 

・軽度の場合や慢性化していると痛がらないこともある

 

・軽度の場合は歩行は正常であることもある

 

・重症の場合は骨が曲がってしまっていることもある

 

重症度の分類(Singletonによる分類方法)

 

状態を評価するために以下のような分類を用います。

 

グレード1:通常は膝蓋骨の脱臼はないが、激しい運動や手で押すと脱臼が認められる状態

 

グレード2:膝蓋骨は脱臼しているが自分で、もしくは手で押せば容易に元に戻る状態、脱臼と整復を行き来している状態

 

グレード3:完全に脱臼した状態。手で押せば元に戻すことは可能だが、離せばすぐに脱臼してしまう状態

 

グレード4:完全脱臼で手で戻すことはできない状態

 

 

重症度分類は、症状とは必ずしも一致せず、グレード1でも大変痛がる子もいれば、グレード4でも全く症状が認められない子もいます。

 

 

【診断】

 

症状、歩様、足の変形の有無等を確認します。

 

さらに触診で膝蓋骨の位置を確認し、手で押して脱臼するのかまた戻るのかを確認し重症度分類をします。

 

X線では膝蓋骨の位置、大腿骨、脛骨の位置や変形の程度を確認します。

 

膝の痛みを訴える場合は、骨折や膝の靭帯の損傷、変形性関節症、捻挫、腫瘍などの可能性もありますので、他の病気の可能性も考えながら診察をすすめていきます。

 

 

【治療】

 

グレード2以上で疼痛、機能障害が見られる(将来出る可能性がある)場合、内科治療で再発を繰り返す場合、などでは状況を考慮して外科手術が実施可能です。

 

 

術式には大腿骨の溝を深くして膝蓋骨を外れにくくする滑車溝形成術内側広筋、内側膝蓋支帯、関節包の解離術外側膝蓋支帯縫縮術脛骨粗面転移術、大腿骨の骨切り術など様々な方法があり、これらを組み合わせて行います。

 

 

治療をせずに脱臼を繰り返すと、膝関節の軟骨が擦れて痛みを生じ次第にうまく歩けなくなったり、前十字靭帯の断裂変形性関節症の原因になることがあるので注意が必要です。

 

 

内科治療としては、体重管理を行い関節への負担を減らし、非ステロイド系抗炎症剤鎮痛剤を使ったり、補助的にレーザー治療サプリメントを使用する場合もあります。

 

 

環境整備として、滑りやすい床は避け、マットを敷くなどの対策を行います。

 

 

足の裏の毛をカットして滑りにくくしてあげることもできます。

 

 

ジャンプや段差の上り下りなど過度な運動を避けます(適切な運動の仕方を指導します)。

 

 

一時的であったり軽度であれば、上記の方法で上手く付き合っていくこともできます。

 

 

歩き方がいつも違うなど気になることがあればお早めにご相談ください。

2020年3月14日更新

 

 

レッグペルテス病は、太ももの骨である大腿骨の骨頭部分が壊死してしまうために痛みやうまく歩けないといった症状がでる病気で、数ヶ月〜1歳前後の若齢の小型犬に多いことが知られています。

 

特に、トイ・プードル、ミニチュア・ピンシャー、トイ・マンチェスター・テリアで多い病気です。

 

 

股関節は、大腿骨の球状の部分の大腿骨頭が、骨盤の寛骨臼というくぼみに包まれています。

 

 

【原因】

 

大腿骨頭への血液が遮断されてしまい、壊死、崩壊することで起こります。

 

感染や炎症反応ではなく、あくまで血流不足により栄養が届かなくなり骨頭部分が死んでしまいます。

 

遺伝的な影響やホルモンの影響などが提唱されていますが、はっきりとした原因は不明です。

 

数週間をかけて徐々に進行します。

 

 

【症状】

 

痛みのために足を地面に着けることができなくなり、浮かせたりするなど歩き方に異常が見られます。

 

歩きたがらなかったり、食欲がなくなることもあります。

 

股関節のあたりを触られるのを嫌がったり、痛い部分を気にして舐めたり噛んだりすることもあります。

 

片足の場合もあれば、両足に発症する場合もあります。

 

初期には痛みがなくても、数週間〜数ヶ月かけて進行し、大腿骨頭の崩壊が起こると急激に症状が悪化し変化に気づくことがあります。

 

 

【診断】

 

触診で股関節の痛みが見つかります。

 

進行すると股関節の動きが悪くなったり筋肉が萎縮して足が細くなります。

 

X線検査では、大腿骨頭が変形したり崩壊、脱臼しているなどの所見が認められます。

 

 

膝の関節部分の膝蓋骨脱臼などでも足が着けないなどの症状が認められるため、他の病気の可能性も考えながら診断します。

 

【治療】

 

病院に受診する頃には、大腿骨頭が崩壊していることが多いです。

 

そのため、外科手術により壊死・崩壊した大腿骨頭と大腿骨頭頸部の切除を行います。

 

これは痛みの原因を取り除き、その周りの筋肉や新たに再生される組織偽関節と呼ばれる偽物の関節を作ることを目的としています。

 

手術後にはリハビリを行い、偽関節がスムーズに動くようにしていきます。

 

痛みを緩和するために非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)を使用します。

 

小型犬は体重が軽いこともあり、多くはこの方法で健康な子と同じように歩けるようになります。

 

しかし、手術前の時点で発症から時間が経っている、筋肉の萎縮がひどい場合などは回復が難しいこともあります。

 

また回復具合によっては、激しい運動を行なった後や寒い雨の日などは、歩き方がおかしいなどの症状が見られる場合もあります。

 

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発症から時間がたってしまうと、筋肉が萎縮してやせ細ったり、関節が変形することで手術後の機能回復に時間がかかったり難しい場合もあります。

 

元気がなく歩きたがらない、足が着けないなどの症状が見られたら動物病院に早めに相談しましょう。

2020年2月14日更新

 

 

 

病気で亡くなる猫ちゃんの1/3が、

 

がん(悪性腫瘍)で、

 

がんのうち一番多いのが乳がん(悪性の乳腺腫瘍)であることが知られています。

 

乳がんで苦しむ猫を少しでも減らしたいとスタートしたのが、

 

キャットリボン運動』です。

 

詳細はこちらをどうぞ→HP:https://catribbon.jp

 

 

[運営団体]  JVCOG(一般社団法人日本獣医がん臨床研究グループ)

 

 

 

キャットリボン運動では3つの取り組みを行います。

 

1 猫のご家族に正しい知識を発信して、早期発見に協力してもらうこと

(できるだけ小さいうちに発見し治療する)

 

2 乳がんの標準治療を普及させること (片側・両側乳腺切除術等)

 

3 乳がん治療のエビデンス強化のための研究に力を入れていくこと

 

 

 

当院はこの活動に賛同して、キャットリボン運動の提携動物病院となりました。

 

 

猫の乳がんの予防啓発や早期発見、そして適切な治療に努めてまいります。

 

また、病院受付ではキャットリボン運動のチャリティグッズのピンバッチ(税込1000円)を置いておりますので、寄付にご協力頂けますと幸いです。

 

 

猫の乳がんに関しての疑問や、お腹に小さなしこりがあるかもしれないなど、

 

 

気になることがあればお気軽にご相談ください。

 

 

 

武井動物病院

2020年1月27日更新

耳の中を丁寧に観察したい。。。という思いから、

 

 

 

オトスコープ(耳道内視鏡)を導入しました!(少し前ですが)

 

 

 

 

 

外耳炎などで耳道がかなり狭くなってしまっている場合や、痛みが非常に強く耳を触らせてもらえない場合は、鎮静下あるいは全身麻酔下でオトスコープを使用して観察を行うことができます。

 

 

 

↑↑ 外耳炎の耳道画像

 

 

 

またオトスコープでは、耳道内部の観察と同時に、組織生検や異物の摘出も可能です。

 

 

外耳炎が繰り返すなど耳の病気でお悩みの場合はご相談ください。

 

 

2020年1月27日更新

 

今年も年に1度の「パピークラス・クリスマス特別企画」を開催しました。

 

 

現役生も卒業生もクリスマス仕様の3つのトレーニングに積極的に参加してくれました!

 

 

プレイセッションでは、はじめましてのワンちゃん同士でも、コミュニケーションをとって楽しく遊んでくれていました。普段のクラスやお家でのトレーニングの成果だと思います。

 

 

途中には当院のスタッフからの出し物もあり、大いに盛り上がりました。

 

 

 

 

 

 

武井動物病院のパピークラスは、JAHA(日本動物病院協会)のパピークラスコースを学んだ専門獣医師が動物行動学の知識に基づき開催しています。

 

HP:http://www.takei-amc.com/prevention/puppy.html

 

 

犬の社会化が適切に行われると、お家やお散歩などでの日常生活がスムーズになるだけでなく、

病院に慣れることで、どうぶつ、飼い主さんにとって診察時のストレスを減らすことができるというのは大きな利点だと思います。

 

 

今月も新入生が参加してくれる予定です。

 

 

随時参加を受けつけておりますので、お電話や診察時にお問い合わせください。

(開催は日曜日です。)

 

武井動物病院

2019年12月16日更新

 

 

僧帽弁閉鎖不全症は、心臓内の弁が変性して閉じることができなくなり、血液が逆流してしまう病気で、小型犬に多いことが知られています。

 

 

 

症状としては、軽度の場合は見た目には分からず、進行すれば、呼吸が早くなる、咳が出る、疲れやすい、呼吸困難、チアノーゼ、失神といった症状が見られます。

 

 

 

ACVIM(American College of Veterinary Internal Medicine:米国獣医内科学会)の犬の粘液腫様僧帽弁疾患の診断・治療に関するガイドラインが、2019年に改訂されました。

 

 

改訂版のポイントとしては2つあります。

 

 

 

ひとつは心不全の症状がでる前段階での治療をはじめることで、うっ血性心不全の発症や心臓病死を遅らせることができるということです。

 

 

 

つまり症状が出る前に健康診断などで心臓マーカーの測定をしたり、心雑音を見つけ、心エコーやレントゲン撮影を行って、治療開始の基準に該当すれば治療を行うことが推奨されます。

 

 

 

もうひとつは、限られた施設での実施にはなりますが、外科手術で僧帽弁を修復する根本的な治療が推奨されている点です。

 

 

 

 

【心臓の構造と血液の流れ】

 

 

 

 

 

 

 

 

心臓は4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)に分かれています。

 

 

 

全身から静脈を通って帰ってきた血液は右心房に戻され、右心室へ、そこから肺動脈を通って肺に向かいます。

 

 

 

ここで新鮮な酸素をもらい、肺静脈を通り左心房に戻ってきます。

 

 

 

左心房から、左心室へ行き大動脈を通って全身に向かい、各臓器に酸素を届けるのです。

 

 

 

古い血液と新しい血液が混ざってしまっては困るので、一方通行になるように、各部屋の間には弁という仕切りがあります。

 

 

 

このうち左心房と左心室を仕切っているのが、僧帽弁です。

 

 

 

【原因】

 

 

原因は明らかになっていませんが、僧帽弁が厚くなったり変形することで、仕切りの役割ができずに血液が逆流してしまいます。

 

 

小型犬に多く、遺伝的に罹りやすい犬種がいます。

 

 

 

 

キャバリアは比較的若齢で発症すると言われ、4歳以上では42~59%に心雑音が聴取されるという報告があります。

 

 

 

他の好発犬種としては、ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー、トイプードル等がいます。

 

 

 

また加齢に伴い発症率が増加し、13歳以上では僧帽弁逆流の心雑音が30~35%で認められるという報告や、弁膜病変が最大で85%において認められるという報告があります。

 

 

 

【症状】

 

 

この病気は数ヶ月から数年かけてゆっくりと進行することが多いですが、急速に進行して悪化する場合もあります。

 

 

 

逆流が軽度の初期では、症状を示しませんが、次第に動物病院で行う聴診で心雑音が聞こえるようになります。

 

 

 

さらに進行すると、散歩の時や興奮した時に、咳が出たり呼吸が早くなったりします。

 

 

 

これらは徐々に進行することが多いため、「最近疲れやすいけど年のせいかな?」と思ってしまう飼い主さんも多くいらっしゃいます。

 

 

 

咳は血液の逆流により左心房が拡大し、気管支を圧迫することなどから、呼吸が早くなったり疲れやすいのは、心臓が一度に全身に送れる血液(酸素)が少なくなることから生じます。

 

 

 

しだいに安静時にも上記のような症状がみられ、さらに逆流が重度になると、呼吸促迫・呼吸困難となります。

 

 

 

これは、左心房に逆流する血液が多くなった結果、左心房の圧が高まり本来なら肺から左心房に血液が送られるところ、肺の部分で血液が渋滞してしまい、肺のうっ血・水腫を起こすためです。

 

 

 

また循環障害のため粘膜が青紫になるチアノーゼ、失神、ふらつきなども見られます。

 

 

 

弁を支えている腱索が切れたり、左心房が破裂した場合は、急性左心不全の症状を示すことがあり、突然死することがあります。

 

 

 

【診断】

 

 

 

 

身体検査では、左心尖部を最強点とする心雑音が聞こえます。

 

 

 

血液検査心臓マーカーを測定することで心臓への負荷の程度を確認できます。

 

 

 

心エコー検査では、左心房・左心室の拡張が見られ、僧帽弁が肥厚し、結節状になったり、進行すると左心房側に位置するようになります。

 

 

 

またカラードップラー法を使用し、逆流を確認したり、僧帽弁を通る血流速度の測定を行います。

 

 

 

 

X線検査では左心房・左心室の拡大肺のうっ血・水腫が見られます。

 

 

 

 

ACVIMガイドラインでは、心臓の形態の変化と症状で4つのステージ(A,B,C,D:Dが最も重症)に分類し、さらにBをB1とB2に分けています。

 

 

 

 

例えば、ステージB2聴診での心雑音の強度、エコー検査やX線で調べた左心房の大きさや左心室の内径、心臓の大きさに関しての数値基準があります。

 

 

 

 

診断では全身状態を把握し、他の病気との鑑別診断を行った上で、僧帽弁閉鎖不全症と考えられる場合は、どのステージなのかを基準に照らし合わせて考え、治療方針を決めていきます。

 

 

 

実際は、全ての数値基準を超えなくても症状が目立つ場合があるなど様々なので、個々の状態に合わせて対応することが大切です。

 

 

 

【治療】

 

 

 

 

内科的治療では主に薬を使って生活の質の向上と寿命の延長を目指します。

 

 

 

 

僧帽弁逆流を軽減し、肺うっ血の予防または軽減、心拍出量を維持し合併症の予防するために行います。改定されたガイドラインでは、ステージB2からの治療の介入が効果的としています。

 

 

 

 

個々のステージ、状態で治療に用いる薬剤や投与量は異なりますが、使用される薬剤の例としてピモベンダンという強心作用と血管拡張作用のある薬や、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)、利尿薬、血管拡張薬、鎮咳薬、鎮静薬等があります。

 

 

 

 

また食事療法としてカロリー摂取量や塩分摂取量を管理します。

 

明らかな肥満の場合は心臓の負荷を減らすために徐々に適正体重に戻す場合があります。

 

一方痩せてしまうのも予後に影響するため、体重維持のための工夫をします。

 

 

 

また心不全の症状が強い場合は、運動制限をします。

 

 

 

 

外科的治療として、最近では犬でも僧帽弁形成術等を行うことができるようになりました。

 

 

 

小型犬の心臓はとても小さいため心臓外科の専門技術が必要であり、最新の設備やスタッフ体制が万全な限られた施設でしか行うことができません

 

 

 

現在のステージと手術、術後のリスク、そして費用面などを考えなければなりませんが、外科手術では根本的な原因の治療が期待でき、逆流自体を少なくできます

 

 

 

希望される場合は専門病院へ当院から紹介も行っております。

 

 

 

患者さんの中には、実際に手術を受けて劇的に改善した子もいます。

 

 

 

 

 

ガイドラインでは、特に好発犬種を含む小型犬では定期的な検診を受けることが推奨されています。

 

 

 

大型犬でも罹ることがあり進行が早いため体の大きさに関わらず検診で心雑音の有無やエコー検査などを受けておくのがよいでしょう。

 

 

 

早めに発見することで、適切な治療を受けることができます。

 

 

 

 

2019年12月9日更新

当院ではこれまでも眼科検診の際に眼圧の測定を行っておりましたが、

 

 

トノベットの導入でよりどうぶつへの負担が少なくスピーディーに眼圧を測定できるようになりました。緑内障ぶどう膜炎の診断にかなり役立ちます。

 

 

目が赤い、白い(色が変わった)、目をこする、目が痛そう、左右の目の大きさが違う、目やにがたくさん出るなどの症状が見られたら、お早めにご相談ください。

 

2019年11月14日更新

猫伝染性腹膜炎(Feline Infectious Peritonitis:FIP)は、主に若齢(2歳以下)の猫で発症し、残念ながら予後が非常に悪い病気として知られてます。

 

また確定診断が難しい病気であり、FIP以外の病気の可能性を慎重に見極めて除外するとともに、FIPの可能性が高いと考えられる所見を積み重ねていくのが現実的な方法です。

 

【原因】

 

猫コロナウイルス(Feline coronavirus, FCoV)が関係しています。

 

FCoVには多くの猫が感染し一般的な感染症ですが、FCoVが体内で変異株のFCoVすなわち、FIPV(Feline Infectious Peritonitis Virus:猫伝染性腹膜炎ウイルス)に変化し増加することで、FIPを発症すると考えられています。

 

 

猫コロナウイルス(FCoV)に感染しているからといって、FIPを発症するわけではなく、病気になるのはその一部です。

 

 

病名に伝染性とあるので、感染力が強いウイルスと誤解されやすいのですが、通常FIPVが一緒に暮らしている猫に感染して発症することはないと考えられています。

 

【症状】

 

FIPを発症した猫でよくみられるものとして、発熱や沈うつ、食欲不振、体重減少があります。

 

FIPには大きく分けて2つの病型があり、滲出型(ウエットタイプ)非滲出型(ドライタイプ)に分けられます。

 

ウエットタイプでは、腹水貯留でお腹が膨れるという症状が最も良くみられますが、その程度は様々です。

 

胸水や心嚢水が貯まることがあり、その場合は呼吸困難も見られることがあります。

 

ドライタイプは、主に体内の臓器に化膿性肉芽腫という炎症の塊のようなものができます。

 

この塊は外見からは分からないので、症状がさらに分かりにくいのが特徴です。

 

消化管にできれば嘔吐や下痢が起こる場合もあります。そのほかにも腎臓やリンパ節、肺、肝臓など様々な組織に化膿性肉芽種ができます。

 

 

に波及すれば、眼の病変が見られたり、脳・神経に波及すれば、運動失調や眼振、行動異常、けいれんなどが見られることがあります。

 

しかし、これらタイプごとの症状は、必ずしもはっきりと現れるわけではありません

 

どの臓器に病変が存在するか、その重症度は、個々によって異なります。

 

また、ウエットタイプとドライタイプが混在する場合もあり、連続性をもったものと考えられています。

 

【診断】

 

FIPの診断は、1つの検査で簡単にできるわけではなく複数の検査や症状等から「FIPの可能性が高い」ことを示していきます。

 

特殊な検査もあり、当日に検査結果がわかるものだけではありません。

 

また診断の過程では同時に他の病気(腫瘍等)の除外を進める必要があります。

 

FIPは主に若齢(2歳以下)で発症することに加えて、多頭飼育環境、ストレスによる影響も発症に影響すると考えられています。

 

このような猫で発熱や食欲低下、体重減少が見られれば、FIPも候補の1つとして検査を進めます。

 

もちろんこれだけの情報では、軽い細菌感染などの胃腸炎などの可能性もあります。

 

身体検査、血液関連の検査、画像検査等の検査を行い、認められている変化を1つ1つ確認します。

 

1項目ではFIPと言い切れないですが、FIPで特徴的な項目の変化が複数あれば可能性が高まります。

 

ここでは詳細を省きますが、その項目は多岐に渡ります。

 

ウエットタイプで特徴的なのは腹水、胸水の貯留でした。

 

前述したように2つの型の間のような病型をとる場合もあるため、必ずしも十分量採取できるとは限りませんが、可能であれば腹水を採取して分析することが役立ちます。

 

FIPに特徴的な性状であるかを検査し、その場合は腹水中にウイルス抗原が含まれているかをさらに専門機関で調べます。

 

陽性であればFIPである可能性が高いですが、必ずしも検出に十分な量が含まれているとは限らないために「陰性=FIPでない」とは言えないことに注意が必要です。

 

ドライタイプでは、体の内部の臓器に肉芽腫ができるため、さらに診断が難しくなります。

 

特徴的な症状や検査項目の変化があれば可能性が高いのですが、確定診断は体内にできた病変組織部分を手術で取り出して、病理切片を作成して病変内のウイルス抗原を確認する必要があり、体力が落ちている生前に行うのは現実的に難しいです。

 

また開腹をせずに、穿刺で肉芽種の部分を吸引してウイルス抗原を確認する方法もありますが、採取自体が難しいか、検出に十分な量が含まれているとは限らないため、確定診断が難しいのです。

 

【治療】

 

現時点で根治ができる治療法は確立されておらず、予後が非常に悪い病気です。

 

唯一、ステロイド投与は炎症や過剰な免疫反応を抑制し、一時的な状態維持の可能性がある場合もあるということで、使用されますが完治ができるわけではありません。

 

他に数多くの抗ウイルス薬や免疫抑制剤が治療に用いられてきましたが、有効とされるものはありません。

 

最近では、GC-441524といった新しい抗ウイルス薬の効果が報告されていますが、研究段階であり国内で治療薬としては認可されていないのが現状です。

 

【予防】

 

FIPVに対するワクチンは研究されてきましたが、有効なものは確立されていません。

 

 

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FIPを発症した猫でよく見られる発熱や食欲不振は、他の感染症などでも一般的に見られる症状です。

 

お家の猫ちゃんの様子が、いつもと違うなと気づいたら、早めに動物病院に相談してください。

 

2019年10月25日更新

 

パピーケアクラスに10月から新入生が加わりました!

 

子犬の時期に人の社会で一緒に暮らしていくために必要なことや

他の犬との関わり方などを楽しく学びます。

 

 

当院ではJAHA(日本動物病院協会)のパピークラスコースを学んだ専門の獣医師に講師をお願いしております。

 

現在、新規の方も受付中ですので、お問い合わせください。(電話:042-576-9100)

 

 

武井動物病院のパピークラス:http://www.takei-amc.com/prevention/puppy.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年10月21日更新