スタッフブログ

 

「この子はアジソン病です。」と言われてもあまりピンとこないかもしれません。

 

正式には、「副腎皮質機能低下症」と言う病気です。アジソン病は命に関わる病気ですが、症状が特徴的でないため発見が難しく、別の診断名(腎臓病や慢性腸症、心臓病など)がついて見逃されているケースもあります。

 

お薬で治療することにより改善し、うまく付き合っていくことのできる病気ですので、今回紹介していきます。

 

 

副腎とは?

解剖学的には以下の図のようになっています。

 

 

 

腎臓の近くにある小さな臓器で、ホルモンを分泌して身体のバランスを保ち、生命維持に重要な働きをしています。

 

アジソン病で問題となる副腎皮質球状帯束状帯網状帯からなり、

 

球状帯はミネラルコルチコイド(鉱質コルチコイド)、束状帯はグルココルチコイド(糖質コルチコイド)、網状帯はアンドロジェン(性ホルモン)を分泌しています。

 

 

原因は?

完全には解明されていませんが、自己免疫による(自分の免疫機構が自分の臓器を攻撃してしまう)副腎の萎縮が原因と言われています。

 

副腎の萎縮により、主にグルココルチコイドミネラルコルチコイドの不足が生じ、アジソン病を発症します。

 

 

どんな症状?

この症状をみつけたらアジソン病確定!という特徴的な症状はなく、元気がない、食欲がない、下痢や嘔吐をしている、震えている、脱水症状といった非特異的な症状を呈します。

 

やや特徴的なのは、ストレスに弱いということです。例えばホテルに預けると毎回下痢をする、旅行に行くと食欲が落ちる、病院の診察後に元気がなくなるなど、様々なパターンがあります。

 

アジソン病は、好不調の波を伴いながら徐々に進行していきます。放置していると、副腎クリーゼというショック状態に陥り、命を落とすこともあります。

 

どうやって診断するの?

上記の臨床症状から胃腸炎や腎臓病などの複数の主な鑑別診断を頭の中でリストアップし、検査で絞っていきます。その鑑別診断の一つとしてアジソン病をあげておくというのがまず第1のステップです。

 

これが難しいのです(腎臓病などに比べ、比較的頻度が低いにもかかわらず、極端に言えば調子が悪い子はみんなアジソン病の可能性がありますので。。)が、鑑別診断に入れておけるかどうかが一番大事です。

 

臨床症状や身体所見だけでは確定できないので、血液検査、血液化学検査や超音波検査、X線検査等を行い、診断を絞っていきます。

 

色々な所見がある中で、アジソン病の大きな診断所見としては3つです。

 

 

 

①血液化学検査により、低ナトリウム高カリウム高窒素血症が確認される

②超音波検査により副腎の萎縮が確認される

③内分泌検査(コルチゾール値の測定、ACTH刺激試験)により血中コルチゾールの低値が確認される

 

 

この3つが確認されれば、アジソン病を疑い、お薬をスタートします。

 

非定型アジソン病というものがあり、グルココルチコイドのみ分泌量が低下することにより、症状を呈します。この場合、低カリウムや高ナトリウム血症は出てきません。そのため、通常のアジソン病よりも見つけにくいです。

 

 

治療はどうするの?

通常のアジソン病の場合は、グルココルチコイドミネラルコルチコイドの補給をします。

 

 

当院で使用しているメインのお薬はグルココルチコイドとミネラルコルチコイドの両方の作用をもつ酢酸フルドロコルチゾンというお薬です。

 

お薬を1日2回飲んでもらい、症状や血液をモニタリングしながら投与量を調整していきます。

 

治療経過によっては他のグルココルチコイド製剤を加えることもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

非定型アジソン病の場合は、グルココルチコイドのみの補給を行います。

 

 

副腎クリーゼを起こしている場合は、輸液速攻型のグルココルチコイドの注射ミネラルコルチコイドで救命処置をします。

 

 

アジソン病は早期に診断され、薬で上手くコントロールできれば重症化することなく寿命を全うできます

 

ひとこと

「なんとなく元気ないなあ」からアジソン病が発見されることもあります。その場合はずっと悩んでいた症状がお薬で解決しますので、気になる症状があればいつでもご相談ください。

 

 

 

 

 

院長 田中 啓之

 

 

院長紹介ページはこちら→http://www.takei-amc.com/staff/inchou.html

 

2020年10月13日更新

9月は当院の「どうぶつ防災強化月間」です。

 

 

 

 

 

ペット健康防災手帳:病院受付で配布しています。

http://www.takei-amc.com/wp/news/bousai-notebook/

*「人とどうぶつのための備蓄品チェックシート」:病院受付で配布しています。

おもて面が人のための、うら面がどうぶつのためのチェックリストになっています。

HP「どうぶつの防災」http://www.takei-amc.com/prevention/bousai.html

2020年9月14日更新

 

短頭種って?

短頭種とは、頭の幅に比べ、鼻の長さの短い犬のグループです。

 

皆様がよくご存知なのは、ブルドッグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリア、パグ、ペキニーズ、シーズーなど、鼻が潰れていてブーブー呼吸しているような子達だと思います。

 

実は隠れ短頭種としてチワワキャバリアもいます。

 

このような子達は遺伝的に呼吸器(鼻、軟口蓋、喉頭、気管など)に形態的な障害を持っていることが多く、それらを総称して「短頭種気道症候群(Brachycephalic Airway Syndrome : BAS)」と言います。その症状は若齢から見られることが多く、歳を重ねるごとに進行していく慢性疾患です。

 

 

どんな症状?

いびき睡眠時無呼吸ピーピー、ブーブー、ガーガーという呼吸(スターター、ストライダー)や、咳が出る息を吸う時に頑張っている(苦しそう)、運動(興奮)時にすぐ疲れる暑さに弱いなどといった症状です。

 

進行すると、チアノーゼや失神を起こし死亡する場合もあります。

 

また、多くの子で胃炎や食道炎も併発し、吐物の逆流による誤嚥性肺炎のリスクが高いです。

 

 

診断は?

一般的には、外貌呼吸状態の確認レントゲン撮影で行います。

 

また、エコー検査透視検査を行い、呼吸器の運動性を確認したり、内視鏡検査で確定診断をしたりする場合もあります。

 

 

治療は?

緩和的に内科治療(冷却や鎮静、酸素化、抗炎症治療、消化器症状の軽減)をすることがありますが、根本的な解決には主な異常に対する外科治療を行います。

 

1.外鼻孔狭窄

鼻の穴が狭くなって呼吸がしにくい状態です。皆様も軽く鼻をつまんで呼吸していただくと実感できると思います。

外鼻孔拡大術を実施します。

 

 

メスや生検用パンチを使用し、鼻孔の余分な組織を切除、整形して鼻孔を広げます。

 

 

2. 軟口蓋過長

軟口蓋(口腔内の上顎の部分で柔らかくなっているところ)が長すぎて、空気の通り道(下図の喉頭口)を塞いでしまう状態です。

軟口蓋切除術を実施します。

 

 

メッツェンや超音波メスを使用し、空気の通り道に覆いかぶさった軟部組織を切除します。

 

3. 喉頭虚脱

喉の入り口の運動障害により、呼吸や嚥下がうまくいかない状態です。

→軽度の場合は喉頭小嚢切除術を実施します。

外転して空気の通り道を邪魔している喉頭小嚢の粘膜を切除します。

 

 

→重度の場合は披裂軟骨側方化術などを実施することがあります。

披裂軟骨と輪状軟骨を糸で結んで引っ張り固定し、空気の通り道を拡げます。

 

 

4. 気管虚脱

気管の膜性壁がたるむことにより気管が潰れてしまう状態。

→上記1~3の治療を行い、改善がない場合には、気管を拡げる手術(気管外プロテーゼ、ステントなど)を実施します。それでも改善がなければ、気管切開術を行うこともあります。

 

 

 

 

短頭種気道症候群(BAS)は重度になると命に関わる疾患であり、進行とともに手術のリスクが大きく上昇します。「まだ元気だし様子を見て大丈夫かな?」、と言っている間に悪化してしまうことも考えられます。

 

若齢時の予防的手術により本症の進行を抑えることができるため、早期の診断が重要です。

 

当院の院長は、「犬・猫の呼吸器臨床研究会」に所属しており、より高度な治療が必要な場合は、呼吸器専門動物病院への紹介も可能です。気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。

 

院長 田中 啓之

 

 

院長紹介ページはこちら→http://www.takei-amc.com/staff/inchou.html

 

2020年8月4日更新

7/31より、

世界標準の血液検査機器である、

 

IDEXXプロサイトDx

 

IDEXXカタリストOne

 

 

を導入しました。

 

 

従来の検査機器との併用により、院内検査がより高度になり、データ管理もデジタルでスムーズにできるようになりました。お渡しする検査結果表が変わっているので、ご不明点等ございましたらスタッフにご相談ください。

2020年8月1日更新

 

昨年は台風19号の豪雨で広範囲にわたって河川の氾濫や崖崩れ等が発生しました。

 

身近なところでは多摩川による浸水被害も発生し、国立市でも台風接近前から自主避難所が開設されました。

 

 

飼い主の皆様も、実際にどうぶつと避難された方や自宅で不安な時間を過ごされた方が多かったと思います。

 

 

さらに今年は新型コロナウイルスが流行しており、感染予防にも気を遣わなくてはなりません。

 

 

避難所に人が殺到してしまうと、避難所が密集場所になってしまうため、「分散避難」が推奨されています。

 

 

避難する際には、感染予防のために持ち出し袋に、手指消毒薬ウエットティッシュマスク体温計等も入れておきましょう。

 

雨や風は事前に予測ができるので、風水害が発生する前に準備をすることができます。

 

 

差し迫ってからの避難では、大雨で視界が悪いなど危険が伴います。

 

 

住んでいる場所やどうぶつや家族の状況により個々に避難行動は異なります。

 

 

災害が発生することを前提に、どの時点でどのような行動をとるのか、自分自身とどうぶつの避難行動計画(タイムライン)を作ってみましょう。

 

 

東京都では「東京マイタイムライン」というシートをweb上で公開していますので、参考になさってください。

https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/mytimeline/

 

 

シートを作るのはちょっと面倒だなと感じた方は次の2つだけでもやってみてください。

 

ハザードマップでは自宅のある場所はどのような危険がありますか?

 

②昨年の台風19号よりもさらに激しい豪雨が予想される時、接近の何時間前自分とどうぶつはどこに避難しますか?そのために必要なものは揃っていますか?

 

 

家は川沿いにないし、避難所にも行く必要はないから大丈夫と思っている方、本当にそうでしょうか?

 

 

例えば台風により停電断水が起きた場合、テレビもエアコンもつかない、携帯が充電できない、トイレが使えない、水が出ない、調理ができないといった状況に対処できるでしょうか。

 

 

必要なものは買いに行けばいいと思っても、一時的に物資が不足して手に入らないことも考えられます。

 

 

 

最低限必要なものとして、飲料水食料非常用トイレ燃料電源等は1週間分は用意しておきましょう。

 

もちろんどうぶつの分も一緒に用意しておきます。

 

 

在宅避難の備えをすることは、新型コロナウイルスの感染予防の点から考えても重要です。これを機に何が必要か考えてみましょう。

 

 

当院では、備蓄品をチェックできる「人とどうぶつのための備蓄用品チェックシート」、どうぶつの情報を書き込める「ペット健康防災手帳」を配布してきました。

 

 

現在は感染症対策のため待合室には置いていませんが、病院受付でお渡ししていますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

災害が発生する前にできることをやっておくことが、飼い主の皆様とどうぶつの命と健康を守ります、ぜひ考えてみてください。

 

武井動物病院

2020年6月29日更新

 

膀胱炎とは、膀胱に炎症が起こる病気です。

 

 

 

尿が少ししかでない何度もトイレに行く血尿などの症状が見られ、犬でも猫でもこのような症状で来院されることは比較的多いです。

 

 

 

犬では大腸菌などの細菌感染が原因であることが多いですが、猫では細菌感染などの明らかな原因が見られない特発性膀胱炎が多いことが知られています。

 

 

 

【原因】

 

細菌、真菌、寄生虫の感染や、結石による刺激、膀胱内のポリープや腫瘍、薬剤などが原因で発症します。

 

 

犬の場合は、細菌感染によるものが多いことが知られています。

 

大腸菌やブドウ球菌などが主な原因です。

 

膀胱は尿道に続いているため、尿道の出口から糞便などに含まれる細菌が感染して、それが膀胱までさかのぼって炎症を起こすことが多いです。

 

 

 

 

 

 

猫の場合は特発性膀胱炎といって、細菌感染などのはっきりとした原因が見られない膀胱炎が多いことが知られています。

 

膀胱の構造の問題、ストレスや環境要因が関係しているのではないかと言われています。

 

 

【症状】

 

・頻尿

 

・尿が濁る、血液が混じる

 

・排尿時にキャンと鳴くなど痛がる

 

・残尿感があるため頻繁に排尿姿勢をとる(尿量は少ない)

 

・痛みから普段排尿する場所を恐れて別の場所で排尿してしまう

 

・元気がない

 

・食欲不振

 

 

【診断】

 

身体検査で全身状態を確認し、触診では膀胱の腫れや尿のたまり具合を確認します。

 

 

結石等により尿の出口が塞がっている状態では尿が大量に溜まっており膀胱に張りがあります。閉塞状態は大変危険なのでまず確認します。

 

 

 

尿検査では尿中の潜血やタンパク、細菌や結晶があるかなどを調べます。

 

 

エコー検査では、膀胱や尿道に腫瘍や結石等がないか、壁の厚み、粘膜の状態等を確認します。

 

場合によってはX線検査も併用します。

 

尿検査で明らかな異常がなくても画像診断で、原因が明らかになることもあります。

 

 

 

なお、頻尿などの膀胱炎の症状だけでなく発熱等全身症状が見られる場合には、全身状態を確認する必要があります。

 

 

 

【治療】

 

 

細菌性膀胱炎の場合、抗菌薬により治療を行います。

 

 

細菌の種類によって有効な薬剤が異なりますので、尿を採取して細菌を培養し、薬剤感受性検査を行います。

 

尿を採取する際、膀胱穿刺といって、エコーを見ながら膀胱に針を刺して尿を吸引する方法を用いることで検査精度が上がります。

 

 

投与は約2週間〜3週間行わないと再発してしまうことがあるため、症状が改善したからといって自己判断せずに必要な期間確実に投薬することがポイントです。

 

 

 

感染に対しての抵抗力が下がっていたり、尿石があったりすると再発する場合があります。

 

尿石用フードに変更するなどして、再発を防止します。

 

 

なお、糖尿病や腫瘍などの基礎疾患がある場合も同様ですので、基礎疾患の治療を行います。

 

 

 

 

投薬だけでなく、新鮮な水を十分に摂取できるように注意しましょう。

 

 

尿石症については詳しくはこちらへ

:どうぶつ医療コラム『尿石症』 :http://www.takei-amc.com/wp/category/blog/jin/

 

 

 

猫の特発性膀胱炎の場合は、明らかな原因は見つからないものの、環境要因やストレスが関係していると考えられています。

 

 

尿の量が減り濃縮された尿は膀胱にとって刺激になるため、このような状況を改善することが大切です。

 

 

 

 

まず飲水量を増やすために、飲水器を増やして様々な場所に置く、異なるタイプの飲水器を試す、こまめに新鮮な水に変える、ドライフードを利用している場合、お湯でふやかしたり、ウエットフードの利用を考えるなどの工夫を行います。

 

 

 

またトイレに行くこと自体がストレスになってないかを検討します。設置場所が猫にとって落ち着かないこともあるので、複数個を様々な場所に設置したり、形状の異なるトイレや猫砂を用意することも検討します。

 

 

 

多頭飼育の場合は猫の数+1個はトイレの数を用意し、排泄物が置いたままにならないよう、気づいたら早めに片付けて清潔を保ちましょう。

 

 

 

トイレ以外にも生活の中でストレスの原因がないか検討し、猫の本来の性質を考えて、少しでもストレスを低減する工夫を行います。

 

引っ越しなど生活パターンが変わった時などは要注意です。

 

また最近では、ストレスを軽減するフードやサプリメント、部屋に置くフェロモン剤などが治療に使用されています。

 

 

 

なお、膀胱炎による痛みが強い場合は鎮痛剤を用いることがあります。

 

 

排尿について、いつもと違う様子が見られたら早めに病院に相談してください。

2020年6月2日更新

 

膝蓋骨脱臼(パテラ)とは、膝(ひざ)のお皿の骨(膝蓋骨)が、本来収まる大腿骨にある溝(滑車溝)から外れてしまう病気です。

 

 

動物は無症状の場合もあれば、歩き方がおかしくなったり、痛がったりすることもあります。重度の場合は成長に伴い、足の骨の変形が起こります。

 

 

中〜大型犬よりも小型犬に多い病気で、多くは先天的にもしくは発育過程で起こり、膝蓋骨が内側へずれる内方脱臼が一般的です。片足もしくは両足で起こります。

 

なお猫では稀な病気です。

 

 

 

膝関節を構成する骨は大腿骨、膝蓋骨、脛骨です。大腿骨には滑車溝というくぼみがあり、ここに膝蓋骨が収まっています。

 

これを筋肉、靭帯や腱、関節包などの組織が支えています。

 

 

【原因】

先天的な骨格や筋肉の異常が多く、生まれた時あるいは子犬のころから見られるのが一般的です。

 

ポメラニアン、トイプードル、ヨークシャ・テリア、マルチーズ、チワワなどの小型犬で多いことが知られています。

 

交通事故や高いところから飛び降りたなどの外傷が原因で発症することもあります。

 

【症状】

 

急にキャンと鳴き、後ろ足を気にしている(特に初めて脱臼が起こった時)

 

・歩きづらそうにしていたり、痛がったり、後ろ足をあげる(時々〜いつも)

 

・後ろ足に力が入らない

 

後ろ足を伸ばしたりする(自分で脱臼をなおそうとしている)

 

・軽度の場合や慢性化していると痛がらないこともある

 

・軽度の場合は歩行は正常であることもある

 

・重症の場合は骨が曲がってしまっていることもある

 

重症度の分類(Singletonによる分類方法)

 

状態を評価するために以下のような分類を用います。

 

グレード1:通常は膝蓋骨の脱臼はないが、激しい運動や手で押すと脱臼が認められる状態

 

グレード2:膝蓋骨は脱臼しているが自分で、もしくは手で押せば容易に元に戻る状態、脱臼と整復を行き来している状態

 

グレード3:完全に脱臼した状態。手で押せば元に戻すことは可能だが、離せばすぐに脱臼してしまう状態

 

グレード4:完全脱臼で手で戻すことはできない状態

 

 

重症度分類は、症状とは必ずしも一致せず、グレード1でも大変痛がる子もいれば、グレード4でも全く症状が認められない子もいます。

 

 

【診断】

 

症状、歩様、足の変形の有無等を確認します。

 

さらに触診で膝蓋骨の位置を確認し、手で押して脱臼するのかまた戻るのかを確認し重症度分類をします。

 

X線では膝蓋骨の位置、大腿骨、脛骨の位置や変形の程度を確認します。

 

膝の痛みを訴える場合は、骨折や膝の靭帯の損傷、変形性関節症、捻挫、腫瘍などの可能性もありますので、他の病気の可能性も考えながら診察をすすめていきます。

 

 

【治療】

 

グレード2以上で疼痛、機能障害が見られる(将来出る可能性がある)場合、内科治療で再発を繰り返す場合、などでは状況を考慮して外科手術が実施可能です。

 

 

術式には大腿骨の溝を深くして膝蓋骨を外れにくくする滑車溝形成術内側広筋、内側膝蓋支帯、関節包の解離術外側膝蓋支帯縫縮術脛骨粗面転移術、大腿骨の骨切り術など様々な方法があり、これらを組み合わせて行います。

 

 

治療をせずに脱臼を繰り返すと、膝関節の軟骨が擦れて痛みを生じ次第にうまく歩けなくなったり、前十字靭帯の断裂変形性関節症の原因になることがあるので注意が必要です。

 

 

内科治療としては、体重管理を行い関節への負担を減らし、非ステロイド系抗炎症剤鎮痛剤を使ったり、補助的にレーザー治療サプリメントを使用する場合もあります。

 

 

環境整備として、滑りやすい床は避け、マットを敷くなどの対策を行います。

 

 

足の裏の毛をカットして滑りにくくしてあげることもできます。

 

 

ジャンプや段差の上り下りなど過度な運動を避けます(適切な運動の仕方を指導します)。

 

 

一時的であったり軽度であれば、上記の方法で上手く付き合っていくこともできます。

 

 

歩き方がいつも違うなど気になることがあればお早めにご相談ください。

2020年3月14日更新

 

 

レッグペルテス病は、太ももの骨である大腿骨の骨頭部分が壊死してしまうために痛みやうまく歩けないといった症状がでる病気で、数ヶ月〜1歳前後の若齢の小型犬に多いことが知られています。

 

特に、トイ・プードル、ミニチュア・ピンシャー、トイ・マンチェスター・テリアで多い病気です。

 

 

股関節は、大腿骨の球状の部分の大腿骨頭が、骨盤の寛骨臼というくぼみに包まれています。

 

 

【原因】

 

大腿骨頭への血液が遮断されてしまい、壊死、崩壊することで起こります。

 

感染や炎症反応ではなく、あくまで血流不足により栄養が届かなくなり骨頭部分が死んでしまいます。

 

遺伝的な影響やホルモンの影響などが提唱されていますが、はっきりとした原因は不明です。

 

数週間をかけて徐々に進行します。

 

 

【症状】

 

痛みのために足を地面に着けることができなくなり、浮かせたりするなど歩き方に異常が見られます。

 

歩きたがらなかったり、食欲がなくなることもあります。

 

股関節のあたりを触られるのを嫌がったり、痛い部分を気にして舐めたり噛んだりすることもあります。

 

片足の場合もあれば、両足に発症する場合もあります。

 

初期には痛みがなくても、数週間〜数ヶ月かけて進行し、大腿骨頭の崩壊が起こると急激に症状が悪化し変化に気づくことがあります。

 

 

【診断】

 

触診で股関節の痛みが見つかります。

 

進行すると股関節の動きが悪くなったり筋肉が萎縮して足が細くなります。

 

X線検査では、大腿骨頭が変形したり崩壊、脱臼しているなどの所見が認められます。

 

 

膝の関節部分の膝蓋骨脱臼などでも足が着けないなどの症状が認められるため、他の病気の可能性も考えながら診断します。

 

【治療】

 

病院に受診する頃には、大腿骨頭が崩壊していることが多いです。

 

そのため、外科手術により壊死・崩壊した大腿骨頭と大腿骨頭頸部の切除を行います。

 

これは痛みの原因を取り除き、その周りの筋肉や新たに再生される組織偽関節と呼ばれる偽物の関節を作ることを目的としています。

 

手術後にはリハビリを行い、偽関節がスムーズに動くようにしていきます。

 

痛みを緩和するために非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)を使用します。

 

小型犬は体重が軽いこともあり、多くはこの方法で健康な子と同じように歩けるようになります。

 

しかし、手術前の時点で発症から時間が経っている、筋肉の萎縮がひどい場合などは回復が難しいこともあります。

 

また回復具合によっては、激しい運動を行なった後や寒い雨の日などは、歩き方がおかしいなどの症状が見られる場合もあります。

 

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発症から時間がたってしまうと、筋肉が萎縮してやせ細ったり、関節が変形することで手術後の機能回復に時間がかかったり難しい場合もあります。

 

元気がなく歩きたがらない、足が着けないなどの症状が見られたら動物病院に早めに相談しましょう。

2020年2月14日更新

 

 

 

病気で亡くなる猫ちゃんの1/3が、

 

がん(悪性腫瘍)で、

 

がんのうち一番多いのが乳がん(悪性の乳腺腫瘍)であることが知られています。

 

乳がんで苦しむ猫を少しでも減らしたいとスタートしたのが、

 

キャットリボン運動』です。

 

詳細はこちらをどうぞ→HP:https://catribbon.jp

 

 

[運営団体]  JVCOG(一般社団法人日本獣医がん臨床研究グループ)

 

 

 

キャットリボン運動では3つの取り組みを行います。

 

1 猫のご家族に正しい知識を発信して、早期発見に協力してもらうこと

(できるだけ小さいうちに発見し治療する)

 

2 乳がんの標準治療を普及させること (片側・両側乳腺切除術等)

 

3 乳がん治療のエビデンス強化のための研究に力を入れていくこと

 

 

 

当院はこの活動に賛同して、キャットリボン運動の提携動物病院となりました。

 

 

猫の乳がんの予防啓発や早期発見、そして適切な治療に努めてまいります。

 

また、病院受付ではキャットリボン運動のチャリティグッズのピンバッチ(税込1000円)を置いておりますので、寄付にご協力頂けますと幸いです。

 

 

猫の乳がんに関しての疑問や、お腹に小さなしこりがあるかもしれないなど、

 

 

気になることがあればお気軽にご相談ください。

 

 

 

武井動物病院

2020年1月27日更新

耳の中を丁寧に観察したい。。。という思いから、

 

 

 

オトスコープ(耳道内視鏡)を導入しました!(少し前ですが)

 

 

 

 

 

外耳炎などで耳道がかなり狭くなってしまっている場合や、痛みが非常に強く耳を触らせてもらえない場合は、鎮静下あるいは全身麻酔下でオトスコープを使用して観察を行うことができます。

 

 

 

↑↑ 外耳炎の耳道画像

 

 

 

またオトスコープでは、耳道内部の観察と同時に、組織生検や異物の摘出も可能です。

 

 

外耳炎が繰り返すなど耳の病気でお悩みの場合はご相談ください。

 

 

2020年1月27日更新