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どうぶつ医療コラム『レッグペルテス病』

レッグペルテス病は、太ももの骨である大腿骨の骨頭部分が壊死してしまうために痛みやうまく歩けないといった症状がでる病気で、数ヶ月〜1歳前後の若齢の小型犬に多いことが知られています。

特に、トイ・プードル、ミニチュア・ピンシャー、トイ・マンチェスター・テリアで多い病気です。

股関節は、大腿骨の球状の部分の大腿骨頭が、骨盤の寛骨臼というくぼみに包まれています。

【原因】

大腿骨頭への血液が遮断されてしまい、壊死、崩壊することで起こります。

感染や炎症反応ではなく、あくまで血流不足により栄養が届かなくなり骨頭部分が死んでしまいます。

遺伝的な影響やホルモンの影響などが提唱されていますが、はっきりとした原因は不明です。

数週間をかけて徐々に進行します。

【症状】

痛みのために足を地面に着けることができなくなり、浮かせたりするなど歩き方に異常が見られます。

歩きたがらなかったり、食欲がなくなることもあります。

股関節のあたりを触られるのを嫌がったり、痛い部分を気にして舐めたり噛んだりすることもあります。

片足の場合もあれば、両足に発症する場合もあります。

初期には痛みがなくても、数週間〜数ヶ月かけて進行し、大腿骨頭の崩壊が起こると急激に症状が悪化し変化に気づくことがあります。

【診断】

触診で股関節の痛みが見つかります。

進行すると股関節の動きが悪くなったり筋肉が萎縮して足が細くなります。

X線検査では、大腿骨頭が変形したり崩壊、脱臼しているなどの所見が認められます。

膝の関節部分の膝蓋骨脱臼などでも足が着けないなどの症状が認められるため、他の病気の可能性も考えながら診断します。

【治療】

病院に受診する頃には、大腿骨頭が崩壊していることが多いです。

そのため、外科手術により壊死・崩壊した大腿骨頭と大腿骨頭頸部の切除を行います。

これは痛みの原因を取り除き、その周りの筋肉や新たに再生される組織偽関節と呼ばれる偽物の関節を作ることを目的としています。

手術後にはリハビリを行い、偽関節がスムーズに動くようにしていきます。

痛みを緩和するために非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)を使用します。

小型犬は体重が軽いこともあり、多くはこの方法で健康な子と同じように歩けるようになります。

しかし、手術前の時点で発症から時間が経っている、筋肉の萎縮がひどい場合などは回復が難しいこともあります。

また回復具合によっては、激しい運動を行なった後や寒い雨の日などは、歩き方がおかしいなどの症状が見られる場合もあります。

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発症から時間がたってしまうと、筋肉が萎縮してやせ細ったり、関節が変形することで手術後の機能回復に時間がかかったり難しい場合もあります。

元気がなく歩きたがらない、足が着けないなどの症状が見られたら動物病院に早めに相談しましょう。


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