お知らせ

どうぶつ医療コラム『膀胱炎』

膀胱炎とは、膀胱に炎症が起こる病気です。

尿が少ししかでない何度もトイレに行く血尿などの症状が見られ、犬でも猫でもこのような症状で来院されることは比較的多いです。

犬では大腸菌などの細菌感染が原因であることが多いですが、猫では細菌感染などの明らかな原因が見られない特発性膀胱炎が多いことが知られています。

【原因】

細菌、真菌、寄生虫の感染や、結石による刺激、膀胱内のポリープや腫瘍、薬剤などが原因で発症します。

犬の場合は、細菌感染によるものが多いことが知られています。

大腸菌やブドウ球菌などが主な原因です。

膀胱は尿道に続いているため、尿道の出口から糞便などに含まれる細菌が感染して、それが膀胱までさかのぼって炎症を起こすことが多いです。

猫の場合は特発性膀胱炎といって、細菌感染などのはっきりとした原因が見られない膀胱炎が多いことが知られています。

膀胱の構造の問題、ストレスや環境要因が関係しているのではないかと言われています。

【症状】

・頻尿

・尿が濁る、血液が混じる

・排尿時にキャンと鳴くなど痛がる

・残尿感があるため頻繁に排尿姿勢をとる(尿量は少ない)

・痛みから普段排尿する場所を恐れて別の場所で排尿してしまう

・元気がない

・食欲不振

【診断】

身体検査で全身状態を確認し、触診では膀胱の腫れや尿のたまり具合を確認します。

結石等により尿の出口が塞がっている状態では尿が大量に溜まっており膀胱に張りがあります。閉塞状態は大変危険なのでまず確認します。

尿検査では尿中の潜血やタンパク、細菌や結晶があるかなどを調べます。

エコー検査では、膀胱や尿道に腫瘍や結石等がないか、壁の厚み、粘膜の状態等を確認します。

場合によってはX線検査も併用します。

尿検査で明らかな異常がなくても画像診断で、原因が明らかになることもあります。

なお、頻尿などの膀胱炎の症状だけでなく発熱等全身症状が見られる場合には、全身状態を確認する必要があります。

【治療】

細菌性膀胱炎の場合、抗菌薬により治療を行います。

細菌の種類によって有効な薬剤が異なりますので、尿を採取して細菌を培養し、薬剤感受性検査を行います。

尿を採取する際、膀胱穿刺といって、エコーを見ながら膀胱に針を刺して尿を吸引する方法を用いることで検査精度が上がります。

投与は約2週間〜3週間行わないと再発してしまうことがあるため、症状が改善したからといって自己判断せずに必要な期間確実に投薬することがポイントです。

感染に対しての抵抗力が下がっていたり、尿石があったりすると再発する場合があります。

尿石用フードに変更するなどして、再発を防止します。

なお、糖尿病や腫瘍などの基礎疾患がある場合も同様ですので、基礎疾患の治療を行います。

投薬だけでなく、新鮮な水を十分に摂取できるように注意しましょう。

尿石症については詳しくはこちらへ

:どうぶつ医療コラム『尿石症』 :http://www.takei-amc.com/wp/category/blog/jin/

猫の特発性膀胱炎の場合は、明らかな原因は見つからないものの、環境要因やストレスが関係していると考えられています。

尿の量が減り濃縮された尿は膀胱にとって刺激になるため、このような状況を改善することが大切です。

まず飲水量を増やすために、飲水器を増やして様々な場所に置く、異なるタイプの飲水器を試す、こまめに新鮮な水に変える、ドライフードを利用している場合、お湯でふやかしたり、ウエットフードの利用を考えるなどの工夫を行います。

またトイレに行くこと自体がストレスになってないかを検討します。設置場所が猫にとって落ち着かないこともあるので、複数個を様々な場所に設置したり、形状の異なるトイレや猫砂を用意することも検討します。

多頭飼育の場合は猫の数+1個はトイレの数を用意し、排泄物が置いたままにならないよう、気づいたら早めに片付けて清潔を保ちましょう。

トイレ以外にも生活の中でストレスの原因がないか検討し、猫の本来の性質を考えて、少しでもストレスを低減する工夫を行います。

引っ越しなど生活パターンが変わった時などは要注意です。

また最近では、ストレスを軽減するフードやサプリメント、部屋に置くフェロモン剤などが治療に使用されています。

なお、膀胱炎による痛みが強い場合は鎮痛剤を用いることがあります。

排尿について、いつもと違う様子が見られたら早めに病院に相談してください。


ページトップ