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どうぶつ医療コラム『肛門腺絞り』

肛門腺とは?

肛門を時計に見立てて4時と8時の位置に肛門嚢という一対の袋があり、通称「肛門腺」と呼ばれています(本来肛門腺は組織の名称)。そこに貯留する分泌物の形状や色は様々で、緑色だったり茶色だったり、液状のものもあればシーチキンのような固体や泥状のものもあり、その子の個性が出ます。肛門腺は、スカンクの臭腺に似ており、分泌物は独特の強い臭いを醸し出します。

なぜ絞る必要があるの?

肛門腺の分泌物は大型犬の場合、排便と一緒に絞られて排出されるので大きな問題が生じることは少ないですが、小型犬や猫では、うまく分泌物が排出されずに肛門嚢内に残存することで、違和感や痛みを感じたり、炎症を起こしたり破裂したりすることがあります。そのため、定期的に肛門嚢を絞ってこれらを予防する必要があります。

肛門腺の分泌物が溜まっている時の症状

・お尻をこすりながら歩いている

・よくお尻を噛んだり舐めたりしている

・お尻付近を触ると怒る

・排便時に痛がる

・肛門付近から分泌物が出ている

これらの症状がある場合、早めの受診をお勧めします(炎症や腫瘍、消化器疾患などの別の病気の可能性もあります)。

絞り方のポイントは?

①場所の設定:分泌物は臭いが強く、こぼれる場合もあるので、お風呂場や、周りに何もないところで絞ることをお勧めします。すぐに洗い流せない場合はティッシュを用意します。

②尻尾を上げる:この時に尾を少し頭側に持ち上げると肛門嚢が突出して確認しやすくなります

③肛門嚢の位置を確認する:肛門外周の4時と8時の位置を触ってプヨプヨ弾力があればそれが肛門嚢です。皆様が想像するより少し外側にあることが多いです。

④絞る:肛門嚢の位置が確認できたら、その少し外側に指をセットしやや頭側に指を押し込みます。押し込んだところで肛門嚢を挟み込み肛門側に分泌物を排出させます。強く押しても出ない時は押す場所が違いますので、再度場所の確認から始めましょう。

⑤後処理:綺麗にシャワーで流す、ドライシャンプーをつけて拭き取るなど、分泌物が残らないようにしましょう。

院長からのひとこと

肛門腺絞りは再診料の中に含まれていますので、定期的チェックの際に気になる方はお気軽にご相談ください。一緒に練習しましょう!


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